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【終了しました】東京の街路樹から考える、人と緑のよい関係

2024年1月12日(金)実施

街路樹は都市の中で憩いの場となるだけではなく、防災や保水機能、ヒートアイランド現象の緩和に効果があると言われます。海外では気候変動適応のため、街路樹の力を活用すべく、街路樹のマップアプリが作られ、炭素蓄積量が可視化されるなど、都市の緑の価値を見直す新たな取組が行われています。しかし日本においては、かつては道路機能や景観に配慮しながらも、樹木の生態や季節に合わせて手入れされていた木々も、現代では落ち葉など管理の問題から、木の生育を脅かすほどに剪定されることによって木が弱り、倒木リスクも増え伐採されたりしています。また東京都内の街路樹の本数自体は増加しており、緑の豊かさを示す指標とされる緑被率も上がっていますが、これらには、木陰の少ない低木や芝生も含まれています。こうした「緑の量」を高めるだけではなく、道路に沢山の木陰を作ったり、野生生物も生息しやすくなるような、枝葉の茂りが多い高木を街に増やし、「緑の質」を上げていくことが街路樹の機能を有効活用する上では重要であると言います。
この講座では、これからの都市にとって不可欠なグリーンインフラである街路樹の様々な機能を学び、わたしたちが街の樹木とどのように関わっていけばよいのか考えます。

※緑被率とは…緑被地(樹木被覆地・草地・屋上緑地)が、対象区域の面積に対して占める割合のことです。

日時2024年1月12日(金)18:00~20:00(受付は17:45~)
会場オンライン(Zoom)
※お申込みいただいた方限定で講座後2週間アーカイブ配信いたします。
対象港区在住・在勤・在学を中心とした中学生以上の方(区外の方も参加できます)
講師藤井 英二郎氏(千葉大学名誉教授) 
定員30名(先着)好評につき、定員を増やしました。
参加費無料

【当日の様子】
東京都内の街路樹管理の現状について説明がありました。樹木の生態に配慮しない剪定をすると、樹木にとって大きなダメージとなり倒木のリスクも上がりますが、予算の削減などにより、そのような管理にせざるを得ない地域もあるそうです。
しかし、地球温暖化の影響が深刻化する中で、街路樹はヒートアイランド現象の緩和に重要な機能を持っています。大きな樹冠を持つ木を育むことで、道路に木陰を作り、路面温度を20℃下げることもあります。イギリスや中国など海外の事例では、車両の通行や電線配置、そして歩行者に配慮しながらも木が健全に枝を伸ばし、樹冠を維持することに努めているそうです。更に、街路樹があることで道路を歩行する人間が心理的にリラックスできる効果もあるそうです。
今後の課題としては、地域住民の「緑は共有財産である」という意識を醸成し、地域社会と街路樹管理者が連帯していくことが必要であるということです。また、そのために普段から自然と関わっていく体験を増やしていくことも重要です。
身近な緑である街路樹の力を見直すことで、地球と人にやさしい都市環境がつくれることを学びました。


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