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【終了しました】伝統芸能と自然の関わりvol.4~各地に根付く郷土芸能 東北の鹿踊(ししおどり)を例に~
2022年9月2日(金)実施
日本各地にはいろいろな形の郷土芸能が受け継がれています。いずれも自然や風土と深くつながっており、踊りや色・形の中にそれが見え隠れしています。この講座では、それぞれの土地に根付く郷土芸能の地域ごとの特徴や、自然由来の芸能の道具素材に触れ、人間が自然にどのような芸能を捧げてきたのか、なぜ芸能が生まれたのかを考えます。
実は東京にもたくさんある郷土芸能や、岩手県の「鹿踊(ししおどり)」について、鹿踊の踊り手の方から解説を聞き、そこに込められた意味と、人々の自然を畏れ敬う気持ちを学びます。自然と人との関わりの昔、今、これからを考えます。
日時 | 2022年9月2日(金)18:30~20:00(受付は18:15~) |
会場 | 港区立エコプラザ |
対象 | 港区在住・在勤・在学の方を中心にどなたでも(小学生以下は保護者同伴) |
講師 | 田村 民子氏(伝統芸能の道具ラボ主宰/ライター) 【プロフィール】 1969年、広島市生まれ。「伝統芸能の道具ラボ」主宰。「芸能道具ミライ研究室」共同代表。 伝統芸能の道具に関連した執筆、調査、復元、研究を行う。2009年より能楽、歌舞伎などの「伝統芸能の道具」に携わる裏方や職人を支援する草の根活動「伝統芸能の道具ラボ」をはじめる。東京新聞に「お道具箱 万華鏡」を連載中(毎月第二金曜)。 小岩 秀太郎氏(公益社団法人 全日本郷土芸能協会常務理事/東京鹿踊 代表) 【プロフィール】 1977年岩手県一関市舞川出身。 郷土芸能「鹿踊(ししおどり)」伝承者。(公社)全日本郷土芸能協会(東京都)に入職し、全国の芸能の魅力発信、災害復興支援、コーディネートに携わる。東日本大震災を契機に、出身者・首都圏在住者が芸能でつながる「東京鹿踊」プロジェクト、ならびに東北仙台にて「縦糸横糸合同会社」を立ち上げる。地域に伝わる“縦糸”の文化を選り出し、他分野多視点の“横糸”が交差する場のコーディネートと、次世代への伝達方法を検討・実践する企画提案を国内外で行っている。東北と東京の二拠点で活動中。 |
定員 | 30名(先着) |
参加費 | 無料 |
持ち物 | 筆記用具 |
【当日の様子】
伝統芸能は、能や歌舞伎のように建物の中の舞台で演じられるものもあれば、獅子舞などのように外で行われるものもあり、その中でも郷土芸能と呼ばれるものは、それぞれの土地と結びついて生まれ、自然や風土と深くつながっています。
郷土芸能の種類は1万を越えると言われており、雨・寒さ・不作など人間の力ではどうにもならないことに対して祈る、願いの気持ちを表した姿だと説明がありました。願いには豊作を願う「豊穣祈願」の他に、祓うことで育つ植物や動物が守られるとされる「悪疫祓い」、亡くなった人を供養する「鎮魂供養」があり、例として東京の芸能である田遊び・水止舞などが紹介されました。次に、東北の「鹿踊(ししおどり)」について学びました。「シシ」とは鹿だけではなく熊・カモシカ・イノシシなどの獣、すなわち人間が生きるために食べる肉のことを指し、人間にとって「シシ」を食べることがいかに大事だったかを表しているとのことです。鹿踊は東日本にしかなく、西日本の「獅子舞」とは別のものだと説明がありました。また、「豊穣祈願」「悪疫祓い」「鎮魂供養」すべての役割と目的を持っており、生きるために大事な食べることを軸に、食べ物がたくさんとれるように願い、場を清め整え、すべてのものを丁寧に供養することがサイクルとなり、そのサイクルが芸能ではないかと解説がありました。
最後に、鹿踊の道具は素材や作製者も知られていないことなど、継承における課題が示されました。
講座を通して、人間と芸能、自然の関わりを学び、芸能に興味を持ちその意味を知り継承していくことが、自然の恵みのありがたさについて考え、守ることにもつながると学びました。