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【終了しました】アグロエコロジーから学ぶ持続可能な農と食と社会のあり方

2023年7月12日(水)実施

農薬や化学肥料を大量に使用する工業型農業は、土壌や水質の汚染、人の健康被害、貧困層の増加など、様々な問題を引き起こしていると言われています。現在も、世界の多くの土地で工業型農業が採用されています。過度に畑を耕したり、化学資材を使い過ぎると、土壌が本来持つ二酸化炭素の吸収・固定力が衰え、土壌中に含まれていた有機物が分解し、二酸化炭素が放出されます。大気中に含まれる二酸化炭素の3分の1は土壌から放出されたものだという研究もあります。このような状況に対して、近年、世界で注目されているのが「アグロエコロジー」です。

アグロエコロジーは、土壌微生物やカバークロップの活用など、生態系に配慮した持続可能な農業の実践であり、自然や食のあり方を見直し、気候変動や貧困問題などの社会的問題の解決を目指す社会運動でもあります。また、農業自体は現実の政治・経済や地域ごとの文化のあり方などとも関わっています。

この講座では、アグロエコロジーの具体的な内容や実践方法、世界で注目されている理由について解説します。生態系に配慮した農業を実現するためには、それらの社会の仕組みを解明し、新たな変化を作っていくことが必要です。アグロエコロジーは、私たちの生活のあり方や、消費者を含めた食のシステムが目指すビジョンでもあります。アグロエコロジーの学習を通じて、持続可能な農と食と社会のあり方について考えます。

※カバークロップとは…土壌浸食を防ぎ土壌中に有機物を加えて土壌改良に役立つ作物を総称して「カバークロップ(被覆作物)」と呼びます。 カバークロップには、土壌の物理性改善、センチュウの防除、天敵の保持・増殖など多くの機能があることが知られています。 緑肥作物やリビングマルチ(植物マルチ)もカバークロップに含まれます。
(農研機構HPより引用 https://www.naro.go.jp/index.html

日時2023年7月12日(水)18:30~20:00(受付は18:15~)
会場港区立エコプラザ
対象港区在住・在勤・在学を中心とした中学生以上の方
(区外の方も参加できます)
講師吉田 太郎氏(フリーランスライター)
定員30名(先着)定員を増やしました。
参加費無料
持ち物筆記用具
協力オイシックス・ラ・大地株式会社

【当日の様子】
アグロエコロジーをベースにした農法について説明がありました。従来の農業は、多くの収量を確保するために農薬や化学肥料を大量に使用してきましたが、最新の研究では、農薬や化学肥料を使用しない有機農業や、畑を耕さない不耕起栽培などでは、土壌に多くの微生物が増え、微生物が植物に必要な栄養素を土中に固定してくれることで、従来の農業と同等か、より多くの収量を確保できるという研究結果が出ていると説明がありました。有機農業は、環境に負荷をかけないメリットがある反面、従来の農業よりも収量が落ちるというイメージがありますが、最新の研究では、上記事例のように、有機農業でも多くの収量が見込めることが分かってきました。また、長野県飯島町のソバ栽培の事例では、通常は刈り取る雑草などを畑の周辺にある程度残すことで、花粉を媒介する虫が増え、ソバの実の結実率が上がり、収量が3割程度増加するとのことです。国内での有機農業の割合は全体の0.6%と低いですが、埼玉県小川町では19%もあり、行政や地元住民が協力することで、有機農業を広げていくことは可能であると説明がありました。
講座を通じて、アグロエコロジーについて学び、持続可能な農と食と社会の在り方について考える機会となりました。


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