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【終了しました】子どもの食を考える~日本のオーガニック給食の今~

2024年3月16日(土)実施

全国各地でオーガニック給食への関心や、導入への取組が増えつつあります。有機栽培と生物多様性の深いつながりや、オーガニック給食の取組が盛んな武蔵野市の例を中心にその現状や課題などを解説します。また、港区のような畑や田んぼがない都心での取組方法のヒントをお伝えします。
有機農作物がもたらす子どもの体や心への影響についても学び、子どもの食には何が大切か考えてみませんか?

日時2024年3月16日(土)10:30~12:00(受付は10:15~)
会場オンライン(Zoom)
※お申込みいただいた方限定で講座後2週間アーカイブ配信いたします。
対象港区在住・在勤・在学を中心とした中学生以上の方(区外の方も参加できます)
講師中村 陽子氏(NPO法人メダカのがっこう 理事長)

【プロフィール】
1953年生まれ。2男1女の母、4人の孫のババ。2001年「NPO法人メダカのがっこう」を設立。米、味噌、醤油、梅干し、たくあんなどの基本食料作りを実践。目標は、「いのちを大切にする農家と手を結んで、生きる環境と食糧に困らない日本を次世代に残せるような先祖になる」こと。2018年日本の種子を守る会の常任幹事、2021年OKシードプロジェクト共同代表として、日本の種と食を守る最前線で活動中。
定員30名(先着)
参加費無料

【当日の様子】
前半は、なぜ今オーガニック給食の導入が必要なのかをテーマに、日本で農作物に農薬が多く使われるようになった時期と食物アレルギーを発症する児童生徒数の関係について解説がありました。有機農作物は農薬の害がないだけではなく、栄養価も高いことが科学的に証明されているそうです。また、オーガニック給食を取り入れた保育園や小学校の、子どもたちの体温の正常化と体調不良による欠席日数の低下についても学びました。更に農林水産省が進めるみどりの食料システム戦略の中で2050年までに目指す姿として「耕地面積に占める有機農業の取組面積を25%、100万haに拡大」という策定が示されています。その中で更に細かい枠組みとして、有機農業に地域ぐるみで取組む産地を支援するオーガニックビレッジ事業の消費部分では、「学校給食での利用」「マルシェなどの域内流通での地産地消」「地域外都市との連携」が掲げられています。
後半は、有機農業と生物多様性の関係について学びました。有機栽培の田んぼを始めるとすぐに絶滅危惧種が戻ってくる様子を、ニホンアカガエル、メダカ、トキなどを例に説明がありました。生きものが戻ってくることにより、カエルが害虫を多く食べることなどから食物連鎖が生まれ、農薬に頼らずに作物が育つこと、豊かな自然環境を未来に残すことにつながります。また、生きものがたくさんいる田んぼで子ども達の自然観が育ちます。
最後に、オーガニック給食を取り入れた各地の成功例について紹介があり、給食は各自治体の裁量であり、農家と栄養士の連携が重要であることや、畑のない都市でも、オーガニックビレッジ宣言をしている姉妹都市などから取り入れられることなどを知りました。また、オーガニック給食は有機であることとイコールではなく、子どもの体にとってよいものを食べさせようという愛情や、地球の自然環境と生物多様性を守っていく循環型の生き方や自然と共生する姿勢を指すものでもあると提言がありました。
オーガニック給食を例に、食と私たちの体、生物多様性のつながりについて考える機会になりました。


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