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【終了しました】エコプラザ・伝統文化交流館連携企画【全2回】弔う?弔わない?“死”のデザインの現在地

2026年1月18日(日)・1月24日(土)実施

古来より自然や万物に霊威を感じてきた日本人は、人以外の様々な動植物やモノを弔ってきました。あらゆるものが大量生産・大量消費される現代において消費される命やモノがある一方で、虫やロボット、道路など、失われた命や役目に対する様々な「弔い」が存在します。
なぜ日本人は「弔う」のか?「死」と「弔い」の先に生まれるものは何か?持続可能な社会の実現における「弔い」の意味を探ります。

第1回:日本では人の弔いが簡素化する一方で、犬や猫などのペットの弔いが手厚く行われ、ロボット、スマホなどモノの弔いまで存在します。動物、モノの「死」と「弔い」を例に、日本人の自然観の変遷や、「弔い」の境界線はどこにあるのかを解説します。「死」と「弔い」を私たちはどう受け止めているのか、他の動物の死をどのように考え、またその考えがどのように変化しているのかを知り、現代における共生とは何かを探ります。

第2回:命あるものすべてにとって「死」は避けることのできないものです。かつては親族や地域等の共同体による義務として行われてきた「弔い」について、昨今普及してきている樹木葬や散骨などの新たな葬送や、遺影や遺品のデジタル化など、その歴史を紐解き、私たちの暮らしや人同士のつながりを考えます。

日時第1回 2026年1月18日(日)14:30~16:00
第2回 2026年1月24日(土)14:30~16:30(受付は各15分前~)
会場※第1回と第2回で開催場所が異なります。
第1回 港区立エコプラザ
第2回 港区立伝統文化交流館
対象港区在住・在勤・在学の中学生以上の方
講師第1回 鵜飼 秀徳氏(作家・ジャーナリスト/浄土宗正覚寺住職/大正大学招聘教授)

【プロフィール】
新聞記者・雑誌編集者を経て、独立。オウム真理教事件、チェルノブイリ原子力発電所、北方領土など国内外の多くの取材現場に足を運ぶ。著書に『寺院消滅』(日経BP)、『仏教抹殺』(文春新書)など多数。正覚寺住職。大正大学招聘教授。(一社)良いお寺研究会代表理事。

第2回 瓜生 大輔氏(芝浦工業大学デザイン工学部デザイン工学科 准教授)

【プロフィール】
弔い、死者祭祀・供養、故人を偲ぶためのデザイン研究者。ヒューマン・コンピューター・インタラクション(HCI)デザイン研究を軸に、デジタルメディア・テクノロジーを介した新たな弔いのデザイン創出に取り組む。
定員40名(抽選)
参加費500円(全2回分)
共催港区立伝統文化交流館

【当日の様子】
第1回
人の弔いが簡素化する要因として、核家族化に加え、弔う側・弔われる側共に高齢化が進み施設へ入所する人も増え地域から離れることで、関係性が薄れていることが挙げられました。ですが、日本人の弔う気持ちが薄れているわけではなく、関係が近いペットなどは手厚く弔われています。その他に食料となったウナギやカエルなどの供養塔、害虫として駆除されたバッタやハエの供養塔なども紹介されました。また、生け花を行う所に建てられる花塚、服を作る時の糊を落とすために利用される細菌の墓である菌塚なども存在するそうです。更には月待ち二十三夜塔、日食供養塔など月と太陽を供養するものもあり、天文学が発達していない時代、月の満ち欠けや日食現象は人間の代わりに月や太陽が犠牲になっていると考えられ、供養しなければならないという思いに至ったためだと解説がありました。
このような多種多様な弔いが存在するのは日本独特のものであり、それは万物に霊魂が宿ると考えるアミニズムが根底にあることに関連しています。そしてその考えは特別に意識しているわけではなく、例えば食事の際の「いただきます」という挨拶の形などで無意識に取り込まれていると説明がありました。
参加者からは「いろいろな塚があることを初めて知りました」「日々、たくさんの命をいただく暮らしのなかで、それらの命をありがたく思い供養したいという気持ちは、どこから発生するか、ということがイメージできた」などの感想がありました。


【第2回】
近未来の葬儀の一つのあり方として、バーチャルで葬儀に参列する様子が描かれたデザインフィクション映画『それはかつてあったから』を鑑賞しました。その後のレクチャーでは、葬儀と墓について解説がありました。日本でのバーチャル葬儀はコロナ禍で需要が生まれたものの、現在は形骸化したとみられているそうです。しかし、今後も必要なコンセプトではないかと問いかけがあり、オーストラリアで行われている葬儀中継サービスについて紹介がありました。
また、日本におけるこの100年の間の墓・納骨堂の種類として、遺骨を保管する外墓地(一家の墓)・仏壇・ロッカー式納骨堂や、遺骨を保管しない合葬墓(永代供養墓)・樹木葬・海洋散骨などが挙げられました。樹木葬は土に還るイメージから人気があるとのことです。
参拝の新しい形としては、葬儀は家族葬で終え、その後行うVRお別れ会や、Web上での追悼サイトなど、誰でも参拝可能な「オンラインメモリアル」が紹介されました。
これまでの時代は親族・血縁が亡くなった人を弔う前提でしたが、SNSを介したコミュニケーションを含む新しいつながりの前提では、弔い方は多様化し、そのことによって家族葬が増えている中で、弔いたくても弔えない人の救済にもつながるのではないかとのことです。
参加者からは「日本の葬送の現実の一面をとても興味深くうかがえました」「リモートで葬儀する発想はなかったのでおもしろかった」などの感想がありました。
2回の講座を通して、自然との共生や自然への感謝が根底にあり、人・人以外のものを供養する日本人の心は変わらないが、人同士のつながりの多様化に伴い、弔いの形も多様化していることを学びました。

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