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【終了しました】養豚農家と考えるアニマルウェルフェア~命をいただくとは~
2024年2月28日(水)実施
動物福祉、アニマルウェルフェアという言葉を知っていますか?畜産の現場において、生産性や効率性が重視された結果、鳥や豚、牛などの動物を過密な状況で飼育し、身動きが取れないなどの非常にストレスフルな環境にあるケースが多いと言われています。そのような状況を改善し、動物の快適性に配慮した飼育を目指すのがアニマルウェルフェアです。しかし、日本では、アニマルウェルフェアを推進する法整備も海外に比べ遅れており、国内での認知度も低い状態が続いています。この講座では、畜産現場で実際に動物の飼育を行う農場職員が、アニマルウェルフェアについて解説します。現代の畜産の現状や問題についても説明します。講師の働く農場では、1960年代の飼育様式を継続し、衛生的で十分なスペースのある空間での飼育、動物の自然な発育に合わせた種付けや飼育期間の確保などを大切にし養豚業を営んでいます。昔ながらの畜産を事例に、動物福祉やこれから目指すべき畜産動物と人との関わり方について考えます。
日時 | 2024年2月28日(水)18:30~20:00(受付は18:15~) |
会場 | オンライン(Zoom) ※お申込みいただいた方限定で講座後2週間アーカイブ配信いたします。 |
対象 | 港区在住・在勤・在学を中心とした中学生以上の方(区外の方も参加できます) |
講師 | 茨木 泰貴氏(暮らしの実験室やさと農場 運営スタッフ・畜産担当) 【プロフィール】 1981年兵庫県生まれ。大学では環境経済学を専攻。環境問題への関心から有機農業の現場へ。以来17年間、暮らしの実験室やさと農場のスタッフとして、畑や田んぼ、鶏、豚、企画、運営などを行う。2021年は、育てた野菜でヘチマたわし、醤油、納豆を作れるようになった。また、ポッドキャストにて「暮らしの実験室ラジオ局」を開設、農的な暮らしの魅力を発信している。共編著に『場の力、人の力、農の力。たまごの会から暮らしの実験室へ』(2015,コモンズ)石岡市協働のまちづくり推進委員会メンバー。 |
定員 | 30名(先着) |
参加費 | 無料 |
【当日の様子】
アニマルウェルフェア(動物福祉)は、動物の家畜利用を認めた上で、「5つの自由」という基本原則を定め、生まれてから死ぬまでの動物の身体的・心的状態に配慮する取組です。これに似た言葉でアニマルライツ(動物の権利)があります。この2つは混同されることが多く、アニマルライツは、家畜利用そもそもを否定するという違いがあるとのことです。日本のアニマルウェルフェアへの取組は、諸外国に比べて遅れており、海外では禁止されいる行為が、日本では努力義務となっているものが多いです。また、豚1頭で得られる利益が少なく、大量生産と効率化をせざるを得ない現状があることも、アニマルウェルフェアが普及しない原因と言われています。しかし、日本は、神道や仏教の影響により、人間と動物の命を対等に見る価値観が昔からあり、アニマルウェルフェアを大切にする社会的土壌が十分にあると説明がありました。
また、アニマルウェルフェアについては、同時に「命をいただくこと」について考えることが大切と説明がありました。動物福祉を守れば、たくさん肉を食べてもよいということではなく、私たち自身が、自分の身体を作る食べ物とどういう関係を作るかを考える必要があります。現代社会では、私たちの欲望が否定されることはなく増え続けるばかりですが、このまま食肉のニーズが高まれば、畜産もいつか限界が来ます。講師が働く農場では、野菜を購入する会員向けの農場見学や、飼育体験などを行っています。そのような、私たちが動物たちとの距離を縮めるような共同自給の仕組みを採用し、暮らしの一環として動物を飼い、必要に応じて食べるようなライフスタイルへの変換が大切だと説明がありました。
講座を通じて、アニマルウェルフェアと日本の現状を学び、動物と共に生きる暮らしと命をいただくことについて考える機会となりました。