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【終了しました】木からつくられるお酒の話

2022年3月30日(水)実施

日本では古くから、家や道具、紙などの原材料として木を使用してきました。しかし次第にプラスチック製品の普及や外国の安価な木材輸入の増加により、国産材の使用量は大幅に減少しました。その結果手入れされず放置された森林では、さまざまな問題が起きています。そのような状況の中、世界初の、木の幹からお酒をつくる研究が行われ、販売実現に近づいています。講師が木のお酒づくりにチャレンジしたきっかけや製造過程、試作中のエピソードについてお話しします。また、木の種類による香りの違いを実際に体感します。国産材利用の新しい可能性について学び、森林循環の重要性について考えます。

※講座では、マスクをはずしてお酒の香りを嗅ぐ時間があります。
※試飲はおこないません。

日時2022年3月30日(水)18:30~20:00(受付は18:15~)
会場港区立エコプラザ
対象港区在住・在勤・在学の20歳以上の方
講師野尻 昌信氏(森林総合研究所 森林資源化学研究領域 チーム長)
大塚 祐一郎氏(森林総合研究所 森林資源化学研究領域 主任研究員)
定員15名(先着)
参加費無料
持ち物筆記用具
申込み方法 2月23日(水・祝)10:00~申込み開始
下記の申込みフォーム、またはお電話でお申込みください。申込みフォームからのお申込みは、受付メールを自動送信しております。定員に達した後の受付については、お断りのメールをお送りすることがございます。そのような連絡メールが届かない場合は、ご参加確定となります。

【当日の様子】
まず最初に、ペーパーレス化や安価な外国材の流入により国産材の使用が減り、森林が放置されている現状について説明がありました。そのため、森林が飽和状態となり成長量が減少するため、森林資源の有効な活用技術が望まれているとのことです。
その有効な活用技術の一つとして、木材からお酒を製造する技術とその行程が紹介されました。これまでも木材からアルコールを製造する技術はあったものの、燃料としての利用に限定され、飲用として使用することはできませんでした。
一般的に、ワインやウイスキーなどのお酒は熟成期間が長いと価値が上がりますが、木のお酒には、その木が芽生えた年から伐採した年までの、全ての年ごとに育成された成分が含まれます。そのため、樹齢300年の木であれば300年分の成分がアルコールとなり、高付加価値があるとのことです。現在は木のお酒の安全確認を進めている段階で、2~3年後には世界初の木のお酒が市場に出ることが期待されているそうです。
また、事業化が進むことで、新しい木の魅力の再発見、国産材の需要拡大、林業の活性化に加え、その土地に根ざした樹種から地産地消のお酒がつくられ、地域振興にもつながるのではないかとの話がありました。
レクチャーの後は、木材が段階的に粉砕される過程の見本を観察し、5種類の樹種の醸造酒と蒸留酒それぞれの香りの違いを体感しました。
講座を通して、日本の森林問題と国産材の新しい活用の可能性を知り、私たちが国産材を利用することが森林の循環や地域振興につながることを学びました。



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