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【終了しました】白と黒が織りなす生命の躍動~和紙と墨、竹炭が生み出す世界~

2026年4月1日(水)~4月28日(火)9:30~20:00(最終日は18:00まで)

和紙と墨を用いて独創的な世界を描く墨絵画家・中尾聡志氏の作品展です。和紙はコウゾの木を原料に、墨は煤(すす)から生まれる、日本古来の自然素材の画材です。さらに近年、中尾氏は、放置竹林や竹害といった課題を背景に、竹を炭にして墨汁として用いる制作にも取り組んでおり、会場では竹炭墨汁による作品もあわせて展示します。

中尾氏の制作は、完成形をあらかじめ定めない、即興的なプロセスを大切にしています。一筆が生み出す小さな形が、集まり、つながり、変化しながら、新たな形へと育っていく。その過程は、細胞分裂を繰り返し、植物や生きものが成長していく姿にも重なります。筆の動きに導かれるように描かれる線や形には、制御を超えた生命の躍動、自然のリズムが宿っています。
こうして生まれた作品に、決まった意味や答えはありません。和紙の上に立ち現れる曖昧で不定形なかたちを前に、観る人それぞれが自由に想像を広げ、物語を見出していくとき、私たちの中にも新たな躍動が生まれるのではないでしょうか。

自然素材が持つ力と、即興的な表現から立ち上がる命の気配にふれながら、自然と人がつながる感覚、そして私たちの中にある躍動に、そっと思いを馳せてみませんか。ご来場お待ちしております。

4月11日(土)に関連講座「竹炭墨汁で自由な墨絵を描いてみよう!」を実施します。
詳細はこちらをご覧ください。

※過去の展示で使用した映像です


期間中 4月12日(日)11:00~12:00は中尾氏によるギャラリートーク(先着20名・参加費無料)を開催します。

【プロフィール】
中尾聡志 墨絵作家
1978年、埼玉県生まれ。神奈川県横浜市在住。
システムエンジニアや人事、コミュニケーション研修講師といった、絵とは無縁のキャリアを歩んできたが、38歳の時に体験した即興の舞にインスピレーションを受け、筆ペンによる絵の制作を始める。完成形を定めず、墨と筆で緻密かつ即興的に描くスタイルで、独自の世界を表現している。2021年より本格的に画家活動を開始。

【主な活動歴】
2022年 東京展美術協会主催「第48回 美術の祭典 東京展」出展
2023年 横浜市青葉区主催「あおば美術公募展」入選
2023年 個展「白と黒で編む生命と世界の躍動」開催
2025年 SOZAi循環Lab主催「竹炭・アート・手しごと展」「音の竹フェス」出展
2025年 美濃和紙の里会館 企画展「白と黒で織りなす生命の躍動展」開催
2025年 青葉ふるさと協議会主催「青葉区民芸術祭 作品展」出展

Instagram:@satoshi_artwork
X(旧Twitter):@satoshi0420_art

【展示の様子】
和紙や墨、竹炭墨汁などの自然素材で描かれた作品13点と、筆ペンで描かれた作品11点、計24点が展示されました。竹炭墨汁の作品のコーナーでは、パネル等の資料を通じて、竹から竹炭を作る過程の説明がありました。使用されている竹は、放置竹林となっている竹林から間伐したものです。無煙炭化機で900度という高温で約40分かけて焼成することで炭化し、乳鉢ですり潰したものに膠(にかわ)と水を混ぜて竹炭墨汁を作っているとのことです。「生命の躍動」をテーマに描かれた作品は、動物にも植物にも見え、ときには細胞レベルのミクロな世界のようにも感じられ、命の根源を想起させるものでした。
鑑賞者からは、「ひとつひとつの絵が生き生きしていて感銘を受けた」「竹害というものがあることを初めて知り、こうやって美しいアートに昇華されているのが素晴らしいと思った」「あらゆる生命の形を創作の源泉としているのが特徴的だと感じた」などの感想がありました。
展示を通じて、竹林の現状やその活用方法について理解を深めるとともに、自然素材による作品に触れ、命の躍動や気配を感じられる機会となりました。


【ギャラリートークの様子】
最初に、墨絵を描き始めたきっかけについて紹介がありました。二人組による日本の舞を見て感動したことが、その始まりとのことです。その舞は、お互いの指先が触れるか触れないかという繊細な力加減で触れ合い、指先に伝わる微かな揺れを頼りに動くうちに、自然と舞へと昇華していくものでした。しかも、全く練習をしていない初対面の二人が即興で舞っていたと知り、大きな衝撃を受けたといいます。
即興の舞で人々に感動を与えられるのなら、その原理は他の表現にも応用できるのではないかと考え、思い浮かんだのが紙と筆でした。全く絵の経験がない自分が、紙と筆が触れ合う感触だけを頼りに描いたとき、どのような表現が生まれるのか。それを実験的に試したことが、墨絵を描き始めたきっかけだったとのことです。そこから即興的な独自の制作プロセスが生まれ、細胞分裂や命の成長といったイメージが自然と浮かび、作品の中に生命の躍動を感じるようになったと語られました。
続いて、墨や竹炭墨汁、和紙といった画材についての説明がありました。墨の素材である煤(すす)は粒子が非常に細かく、紙の繊維の奥まで吸い込まれるのが特徴です。一方、竹炭墨汁は、竹炭を乳鉢で人の手によりすり潰して粉にしているため粒子が粗く、紙の表面に微細な凹凸が生じます。そのため、墨に比べて荒々しさや野性味のある表情が生まれるとのことです。和紙についても、厚みによって作品の印象が大きく変わると説明がありました。薄い和紙は少量の墨でも吸い込みが強く、黒の発色がはっきりと現れます。反対に、厚みのある和紙は墨を吸いにくいため、墨の量を調整することでかすれなどの表現が可能になるとのことです。竹炭墨汁を自ら手作りすることで、これまで何気なく使っていた墨や和紙もまた自然を原料として作られていることに意識がいくようになったという話がありました。生活の一部を自分の手で作ったモノに置き換えたり、壊れたモノを自分で修理したりすることで、モノへの向き合い方が変わり、生活と自然とのつながりをより身近に感じられるようになるとのことです。
イベントの前半から参加者の質問が続き、活発な意見交換が行われました。
ギャラリートークを通して、画材の素材や特徴への理解を深めるとともに、自分の生活と自然をどのようにつなげていくかを考える機会となりました。


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