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【終了しました】【全7回】木工基礎講座~国産材利用と日本の森の環境を学ぶ~

2022年5月~11月実施

日本の森の現状を知り、そこにある木々が国産材として利用される過程について学び、木工の基礎から作品制作まで体験します。国産材を使うことが森を育むことにつながり、豊かな森は人の暮らしを支えます。木工作業を通して、国産材を取り入れる生活スタイルを意識し、身近に森がない都会と森を結ぶ環境デザインについて考える機会となります。自宅でも国産材を使ったDIY(日曜大工)をすることにより環境貢献ができるようになります。講座開催期間は2022年5月〜11月(講座全7回)の予定です。
講座の修了者はエコプラザ・コミュニティー・メンバー(ECM)に登録できます。登録者は、 エコプラザのサポーターとして企画や講座などの運営ボランティアに携わることができます。また、森と木の学びを深めるためのボランティアグループとして、エコプラザを木工の自習活動など、環境活動の学びの目的として利用できます。

※エコプラザ・コミュニティ・メンバー(ECM)とは …エコプラザの指定講座を修了した方を中心に、学んだ知識を活かし積極的に社会に貢献していただくための会員制の環境活動グループです。

日時各回18:00~20:00(受付は17:45~)                               
第1回 5月19日(木)(レクチャー) 日本の森を知り考える/(ワークショップ)おが粉枕制作
第2回 6月16日(木)(レクチャー) 木工から学ぶ森と環境問題/(ワークショップ)キーホルダー制作
第3回 7月21日(木)(レクチャー) 里山から学ぶ森と環境問題/(ワークショップ)家具リメイク
第4回 8月18日(木)(レクチャー) 森をつくるデザイン!/(ワークショップ)コースター制作
第5回 9月15日(木)(レクチャー) 作品の制作について/(ワークショップ)作品構想・作図
第6回 10月20日(木)(ワークショップ)作品制作①
第7回 11月17日(木)(ワークショップ)作品制作②
会場港区立エコプラザ
対象港区在住・在勤・在学を中心とした中学生以上の方
講師湊 泰樹氏(建築家/オーガニックキッチン代表)
定員10名(抽選)
参加費5,000円(全7回分)
持ち物筆記用具、エプロン(なくてもかまいません)
服装動きやすい服装

【当日の様子】
第1回 2022年5月19日(木)実施
日本の森の現状について説明がありました。日本の森の約3割は、国有林などの天然林・原生林であり、約7割は人の手が入った二次林です。二次林は林業として管理する人工林と農業利用する里山林に分かれます。人工林は建材に使う針葉樹が植えられ、里山林は広葉樹が多い雑木林です。一度人の手が入った二次林は人が管理を継続する必要があります。約70年前までの木材自給率は100%近くありましたが、戦後の復興需要で大量伐採された影響と新たに植林されたものが利用できるまで数十年かかるため、国産木材は供給不足になり外国産材の輸入が加速しました。その後、50年間で国産材の需要が約5分の1に減少しました。近年は輸入材の高騰もあり、約20年で国産材利用が約4割まで増えてきています。しかし、需要が落ち込んだ時に管理ができず荒れたままになっていたり、伐り出す予定のない人工林が問題になっていることを知りました。実習では杉を加工した時に出るおが屑を使って、ミニ枕を作りました。杉のおが屑を素手で綿生地の袋に詰め込む作業で、国産材の匂いと感触を体験しました。

【当日の様子】
第2回 2022年6月16日(木)実施
針葉樹と広葉樹の利用について説明がありました。針葉樹は、建築資材や構造材に使われ、杉、ヒノキ、サワラ等がよく利用されるため、植林が盛んに行われてきました。広葉樹は家具材に使われ、ケヤキ、クルミ、サクラ、イチョウ、カエデ等がよく利用されます。どちらも国産材の需要が減ったため、管理されている優良な森は減少しました。また、1本の太い丸太は切り出す部位によって、材としての特徴に違いがあり、年輪の中心にあたる芯の部分は硬いため建材として使われます。外側の年輪は柔らかいため、家具材として使われます。実習ではカエデ、ウメ、ヒノキ、杉の枝や各部位の板からキーホルダー作りをしました。ノコギリの使い方を教わり、使いたい材料を選んでノコギリでカットする作業から始めました。木の種類や部位による硬さの違いを体験しました。完成したキーホルダーは材により木肌の色や感触が違うことを学びました。

【当日の様子】
第3回 2022年7月21日(木)実施
里山から学ぶ環境問題をテーマにレクチャーがありました。里山とは農地、人の生活圏と、立ち入ることの少ない山の間にある林のことです。かつては、ナラやブナなどの広葉樹が植えられていて、薪、炭のエネルギーとキノコ、山菜など食料、たい肥となる落ち葉の供給元となっていました。また、猪や鹿などの野生動物と人間の暮らしの緩衝地帯でした。近年、農地や人の住む地域での獣害が増えているのは、人の生活の変化により里山の維持管理をしなくなり、里山が減少したことが原因です。里山の現状を知ることで、日本の環境に適した暮らしを考える機会となりました。実習はエコプラザのテーブルの傷と汚れを落とすためにサンドペーパーをかけて、天然素材の塗料を塗る作業をしました。工程通りに作業を進めることで、国産材の家具がきれいになることを体験しました。

【当日の様子】
第4回 2022年8月18日(木)実施
講師がライフワークとしている循環する森の環境つくりの話がありました。現在の日本の杉、ヒノキの森の多くは植林して70~80年です。間伐して建材などに使われる木材の多くはその年代の木ですが、100~200年の木を育てると、さらに優良な建材として使えるようになります。特に樹齢200年以上は銘木といわれ、何に利用しても優れた材となります。今ある森の資源を有効に使いながら、200年の銘木を切り出せる森の循環を作るためには、林業、農業、畜産業、水産業の第一次産業全体の関わりが重要だと、講師が実践している富山県の農場で森をつくるデザインの紹介がありました。自然の資源を循環させる暮らしの大切さを、森つくりの例を通して考える機会となりました。実習では、杉の一枚板から切り出すオリジナルのコースター作りを体験しました。

【当日の様子】
第5回 2022年9月15日(木)実施
前回制作した杉のコースターに天然塗料を塗る仕上げ作業をしました。次にオリジナル作品の制作に使う杉の国産材の説明を受けました。杉の特徴や性質も考えながら、それぞれが考えた作品のイメージを図面にする作業を行いました。制作したい物のイメージを紙に完成図として描き出し、大きさを決め、杉の板を切り出すために必要な部材の図面作成に取組みました。 制作作業に入るためには展開図、立面図ができていないと部材の切り出しができません。しっかりとした図面があることで、材料を無駄にせず制作時間も短縮できることを学びました。

【当日の様子】
第6回 2022年10月20日(木)実施
講師の運営する農園の話がありました。今年の収穫は終わり、冬の準備を始めています。雪が積もると春まで畑の作業はほとんどなくなります。また、地域の環境と共存する有機栽培の農園は、里山と同じように森の一部と考えられると説明がありました。
作品作りは図面を描き上げた人から部材の切り出しを始めました。材料の切り出しはノコギリを使い、手作業で丁寧に作業をしました。図面通りに部材を切り出す時に大切なことや、道具の使い方のコツを学びました。

【当日の様子】
第7回 2022年11月17日(木)実施
作品の完成を目指して作業をする中で、材料の木目や模様を有効に使うためのアドバイスや板の扱い方の説明がありました。木材を切断して組む作業には少しのコツと知識が必要なことを知りました。材料の板は同じ規格ではありますが、一人ひとり作る物が違い、木目などの表情が違うため、講師に聞くことで木材の性質を理解し制作することができました。作業が進んでいる人は、紙テープを使って仮組みをしました。具体的な形として作品が見えてくると、調整をしなければいけない箇所や考え直すところが見えてきました。日本の森と国産材のレクチャーを受け、実際に木に触れ作品作りをする体験をできたことは、森の環境と国産材利用について深く考える機会となりました。



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