• レクチャー
  • どなたでも
  • 自然共生
  • 先着

【終了しました】伝統芸能と自然の関わりvol.3~歌舞伎の「蓑(みの)」と里山の生物を例に考える~

2021年9月26日(日)実施

能や狂言、歌舞伎といった日本の伝統芸能の舞台道具には植物や動物を材料にした物が多くあり、伝統芸能と自然は深くつながっています。この講座では、歌舞伎で使われている「蓑(みの)」について取り上げ、入手困難になっている状況や原因について、二人の講師の異なる視点から解説します。私たちの暮らし方の変化が、里山の自然や文化にもたらしている問題を知り、これからどのようにして身近な自然を守っていくべきかを考えてみませんか。

※蓑(みの)とは…茅(かや)・菅(すげ)の葉や茎などで編んだ雨具のことです。

9月4日(土)~26日(日)の期間、関連の展示を行います。詳細はこちらをご覧ください。

日時
2021年9月26日(日)14:00~15:30(受付は13:45~)    
会場港区立エコプラザ
対象港区在住・在勤・在学の方を中心にどなたでも
講師田村 民子氏(伝統芸能の道具ラボ主宰/ライター)

【プロフィール】
1969年広島市生まれ。伝統芸能の道具に関連した執筆、復元、研究を行う。研究テーマは、日本近現代の芸能道具実態史。2009年より能楽、歌舞伎などの「伝統芸能の道具」に携わる裏方や職人を支援する草の根活動「伝統芸能の道具ラボ」をはじめる。東京新聞「新お道具箱 万華鏡」、朝日小学生新聞の伝統芸能インタビュー、朝日・論座などに執筆。

北澤 哲弥氏[株式会社エコロジーパス取締役/博士(環境学)/生物多様性コンサルタント]

【プロフィール】
1974年東京都生まれ。2004年東京大学大学院新領域創成科学研究科にて、里山の植物の多様性をテーマに学位を取得。東京都レンジャー、NPO法人生態工房、千葉県生物多様性センター研究員などを経て、2014年に株式会社エコロジーパスを設立。生物多様性保全に取組む企業を支援している。
定員20名(先着)
参加費無料
協力藤浪小道具株式会社

【当日の様子】
能や歌舞伎などの伝統芸能は自然を表現する演目や、道具に自然素材を使用するものが多くあります。素材の例として、イヌワシなどの鳥の羽、和傘に使われる竹や和紙などが挙げられました。また、今回の題材である「蓑(みの)」にはお姫様用や雪が降る時用など、様々な種類があることを学びました。
「蓑(みの)」の材料の一つであるチガヤと、チガヤが育つ草地について説明がありました。草地で育つ植物は牛などのエサや肥料、茅葺き(かやぶき)屋根などの材料としても需要がありましたが、そのような需要がなくなることにより植林され森に変化したり、開発の対象になるなどして日本の草地は急激に減少しているとのことです。その結果、動植物の多くが絶滅危惧種に指定されるなどの問題が起きています。更に、伝統芸能の道具として使用される素材が手に入らないことで、新しい道具を作ることや、製造方法の継承が難しくなっています。そのような状況の中で、異なる分野の団体が協力して行った「蓑(みの)」の復元例について紹介がありました。今後も新しい「蓑(みの)」の製作を継続して行えるよう、チガヤの収穫の工夫や、新素材の模索が続けられています。
私たち一人ひとりができることとして、自然観察会や里山保全ボランティアに参加して自然に興味を持つこと、伝統芸能の舞台や道具を見て、その魅力をSNSで発信することなどが挙げられました。
この講座を通して、伝統芸能の道具を守り継承するには、異なる分野の人々が協力し、多様な動植物が暮らす環境、それらを利用する知恵や技術を守ることが重要だと学びました。



ピックアップ記事