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【終了しました】 卵を選ぶ~アニマルウェルフェアから考える日々の食~
2023年2月3日(金)実施
スーパーなどで卵を買う時に、何を基準に選んでいますか?「価格」「品質」など様々ありますが、鶏が飼われている環境についてはどうでしょうか。よく聞かれる「平飼い」は本当によいものなのでしょうか。この講座では、アニマルウェルフェアとは何かを始め、異なる立場の二人の講師から、世界と日本の動向についてやオーガニック農業との関わりなど、その特徴や課題、今後について学びます。欧米に比べ遅れていると言われていた日本で、去年山梨県で発足した独自のアニマルウェルフェア認証制度にまつわる最新情報についても解説します。
日々の食について、その背景にあるものと私たちの選択について考えてみませんか。
日時 | 2023年2月3日(金)18:30~20:00(受付は18:15~) |
会場 | オンライン(Zoom) |
対象 | 港区在住・在勤・在学を中心とした中学生以上の方(区外の方も参加できます) |
講師 | 植木 美希氏[日本獣医生命科学大学 教授/共生社会システム学会 副会長/AWFCJ(アニマルウェルフェアフードコミュニティージャパン)理事] 向山 一輝氏[黒富士農場 専務取締役/AWFCLJ(アニマルウェルフェアフードコミュニティジャパン)理事] |
定員 | 30名(先着) |
参加費 | 無料 |
【当日の様子】
まず最初に、アニマルウェルフェア(動物福祉)の定義は、動物が健康で幸せに生きられることであり、「飢えと渇き及び栄養不良からの自由」「通常の行動様式を発現する自由」など5つの自由について説明がありました。1964年にイギリスで出版された、畜産動物を過密に飼育することへの問題提起をした『アニマル・マシーン』という書籍が動物福祉の考え方の先駆的書となり、EUはアニマルウェルフェアの取組が先行しています。採卵鶏における動向として、2025年には食品関連企業の多くが完全にケージフリーに移行すると宣言しています。更に、スーパーなどで売られる卵には0から3までの数字の表示義務があり、数字によって有機、平飼い、改良型ケージなどの飼育方法が確認できるトレーサビリティーシステムが導入され、消費者が卵を選ぶ指標となっていると解説がありました。
日本での「平飼い」には明確な基準がなく、多段式で飼育されるエイビアリー式飼育も含まれ、その中には放し飼いエリアがない場合や、鶏舎に窓がない場合もあるとのことです。
後半は、日本で初めて独自のアニマルウェルフェア認証制度が発足した山梨県にある、黒富士農場の取組について学びました。環境への配慮として自然循環農法を行い、農場で排出される堆肥等は全て地域循環されており、鶏の食べる飼料は遺伝子組み換え混入防止のため、分別流通生産管理された飼料をしていると説明がありました。やまなしアニマル認証制度は日本・EUの有機認証制度やEUの平飼い認証制度を土台として基準が設けられ、県の職員が判定する形ですが、まだ不十分であり、更に細かい基準を設けていく流れだそうです。
EUと日本のアニマルウェルフェア動向を学び、何に重点を置いて卵を選び、購入していくか今後の行動を考える機会になりました。
※改良型ケージとは・・・従来のケージより床面積を大きくし、ケージの中に止まり木や巣箱などを設置したもの